共和党物差 首藤信彦
国会は10月15日に解散し、27日の投開票まで各地で激しい選挙戦が展開されていますが、今回衆議院議員選挙に共和党は一切参加していません。その理由は第一に、この選挙が自民党総裁選で石破茂氏が繰り返し表明し公言していた「自分が首相に選出されれば予算委員会を開催し、各党と質疑を行った後で国会を解散し総選挙を行う・・」という政治家としての公約に反する行為だからです。宴席や居酒屋談義ではなく、自身の政治信念をもとに公言された約束を、首相に選出された直後に、いやその国会での首班指名の前に勝手に国民の意思が集約される国会の解散を表明することは政治家としての品格や矜持が問われるだけでなく、民主主義的手続き自体を否定する行為です。
第二に、議員任期の終了あるいは内閣不信任案の可決によってのみ解散されるはずの国会を党利党略で自党が最も都合の良いタイミングで解散し、その根拠として憲法7条に記された天皇の国事行為(内閣の助言と承認によって行う、国事に関する形式的・儀式的行為)を根拠に解散することは、憲法的に疑義があります。
第三に、石破総裁のこのような党利党略の解散総選挙を阻止するために、野党は内閣不信任案を提出しました。本来なら国会運営上それはすべてに優先して審議・議決されるべきですが、事前に依頼した天皇の解散詔勅を入れた袱紗が国会に届いていることを根拠に、不信任案を審議せずに議長は国会を解散させた。これは主権者である国民の国会よりも天皇の詔勅を上位におくことであり、憲法上許されることではない。
まことに不思議なことに、戦争直後の占領下で作られた憲法には、憲法裁判所設置が規定されていないため、日本ではこのような重大問題に対しても明確な憲法判断が下せないという異常な状況が続いています。
共和党は民主政治の本旨からも、また憲法的にも疑義のある今回衆議院選挙に対しては否定的です。本来は諸外国の例にもあるように、野党は一斉に選挙をボイコットすべきものであり、このような状況で、解散を宣言する議長に抗議することすら行わない既存野党にも絶望するばかりです。
むろん、共和党が今回選挙に不参加となった理由は、他にも候補者や選挙資金などの問題もありますが、そもそも民主選挙とは一般人が通常の生活の中で実施できることが前提であり、最近の選挙のように、政党への潤沢な公的政治資金提供を前提とした総選挙はそれ自体が民主主義の否定であると言っても過言ではありません。
共和党としては、今回の異常な選挙への不参加だけでなく、このような不正常な選挙そのものを改革するために活動を進めてまいります。
なお、今回の選挙に関しては政治ジャーナルPOLITIKO NIPPON#3に「民主主義を虚仮(コケ)にした石破政権総選挙と野党の役割」に詳説しましたので、ご一読ください。
2024年10月21日第50回
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